マンガ「神引きのモナーク」がとても面白い

マンガ「神引きのモナーク」が、とても面白いという話です。

今連載されてる漫画の中では、一番続きが楽しみかもしれません。

 

未読の方へ

この記事は、ネタバレを含んでいます。

未読の方は、ぜひ先に作品をお読みください。

作品単体でも楽しめますが、同作者の「ニセモノの錬金術師」と設定等を共有しており、そちらを先に読むとより楽しめます。

どちらも、HUNTER×HUNTERワールドトリガーを好きな人には、特にオススメです。

特殊能力ありのバトル、群像劇要素、賢いキャラ多め。

 

ニセモノの錬金術

錬金術×呪術×奴隷×エルフ×転生×神様×チート×バトル…… ファンタジーのすべてが詰まった作品(公式[商業版]のキャッチコピー)。

小川一水いわく、(作者の)「才能の原子炉が…暴走し続けている*1

こんな傑作を無料で読んで良いのか?というくらい面白い*2

はてブでの評価も高い。

[B! 漫画] 意外と『ニセモノの錬金術師』が語られていない

 

 

「原作(ラフ版)」と「商業版」があります。

「原作(ラフ版)」は完結済みですが、作画がラフの状態です。

「商業版」は連載中で、原作者とは別の方が作画を担当されています(2024年1月23日に第1巻発売予定)。

 

商業版

comic-walker.com

 

原作(ラフ版)

kindleかpixiv、ニコニコ静画で読めます(pixivとニコニコ静画は現在一部分のみ公開)。

 

kindle

www.amazon.co.jp

 

pixiv

www.pixiv.net

 

神引きのモナーク

kindle、pixiv、ニコニコ静画で読めます。

 

*3

kindle

https://www.amazon.co.jp/dp/B0C6Z8R1YV

 

pixiv版

www.pixiv.net

 

感想など

本題ここから。

以降、ネタバレあり。

「ニセモノの錬金術師」(以下「ニセ錬」)や「僕の妻は感情がない」(以下「僕妻」)のネタバレも含みます。

 

キャラが良い

「神モナ」は、ネームドキャラの多いマンガだ。

ガチャ人間マンガなので、必然的にキャラの数は多くなる。

それに加えて、ガチャ人間ではないキャラもたくさん出てくるので、全体のキャラ数がとても多い。

キャラが増えると、1キャラ当たりの登場シーンは減ってくる。

それでも、このマンガのキャラはどれもよく立っているように思える。

少ない登場シーンで、ぐっとこちらの心を掴んでくるキャラが多い。

まず、「冷静でイカれてる」*4キャラ群がよい*5

また、グリムやアールビーが喜ぶシーンなど、各キャラがどんな価値観を持ってるのか、あるいは、何に喜び、何に怒るのか、が明確になるシーンもよい*6

メフィスタは、名言・名シーン製造機めいていて、とってもよい*7

 

 

主人公タケモトのキャラもよい。

タケモトは、善人である。

平和を志向し、無闇に人を殺さず、ガチャ人間であっても人間として扱う。

ここまでは、現代日本においても一般的な価値観の範疇である。

しかし、その善人ぶりはそこに留まらない。

「港での戦い」において、大人数で待ち伏せされても、まず考えるのは、自分のせいで(ミアがさらわれたことと)敵方に犠牲者が出ること。

敵方アンバーを楽しませたい、などとも考えている。

善人ぶりが常軌を逸していてよい。

メタ的に見ると、善行にリスクがあるのも良い。

作中では繰り返し、タケモトの戦略のリスクが言及されている。

リスクを負ってなお善行に及ぶことで、その善性はより輝く。

 

バトル

バトルもよい。

理屈と根性論のバランスがちょうど良く感じる。

異能バトルなんて、あらかたパターンをやり尽くされていそうなものだけど、それでも面白いのがすごい。

いわゆる「先達への敬意(リスペクト)と、それだけで終わらない作家性」*8がそこにはある。

 

支配関係と擬似家族

孤独な主人公が、支配下に置ける者を獲得する。

→主人公は、その支配力を悪用せず、被支配者の意思を尊重する。

 被支配者も、卑屈にならず、誇りを持って行動する。

→主人公は、やがて、被支配者と(擬似)家族になる。

 

このような流れは、ニセ錬や僕妻にも見られるところだ*9

しかし、神モナのストーリーでは、新たな要素も見られる。

まず、人数が多い。タケモト周辺だけでも、大家族くらいの人数になったいるし、家族というより、共同体に近い。

アンバーは「マブダチ」であり、ここから進展がるのか、あるいは、他に妻に相当するキャラが現れるのかも分からない。

また、支配・被支配関係についても、タケモト−ファースト博士−メフィスタという2段階構造をも含む形になっている。

この辺りが今後どんなストーリー展開になるのかは分からないが*10、とても楽しみである。

 

名付けと(再)解釈

メフィスタは、不条理を「運命」と呼び、リーンは、絶望した転生者を「勝利」と名付ける。

メフィスタに花束をあげると消えてしまうが、その意味が無くなるわけではない。

同じ事象を前にしても、解釈・名付けによって、その意味合いは変わり得る。

 

 

キャラ同士の関係性

タケモト以外のキャラ同士の関係性もよい。

テイマーや人形遣いは、ガチャ能力者とはまた異なる支配関係を持つ。

ファースト博士とメフィスタ*11、リーンとアールビー、アクア姉妹、フォーチュン姉妹、スカイ夫婦と、色んなタイプのペアがいるのもよい。

 

 

小ネタ

時々挟まる細かなネタもよい。

・「拾った」「一度も地面歩いてないのに!?」

・エル・ロコ「聞け!悪党ども」→ゴーレムたちが聞いてる

・「参りましょう どこまでも地獄を!」「森まででお願いします」

・「お人形扱いされて操られたい人間もいるのだよ」「アヤツッテ!アヤツッテ!」「もっと自分を大切にしろ」*12

 

反出生主義

ガチャ能力において、ガチャを引くことは、新たに人間を生み出すことを意味する。相手の同意なく生を強制するという意味で、そこには反出生主義の問題意識と同様の問題が生じ得る。タケモトもそのような悩みを見せる(#53 お返し)。

これに対し、ファースト博士は、そこに罪はなく、責任があるのだと諭す。現代日本の一般的な価値観とも合いやすい、穏当な結論だろう。

しかし、この後に、出生を否定するキャラ、エルネスタが出てきた。今後、エルネスタがどう関わってくるかが気になるところだ*13

 

 
今後

最新話がストーリー全体のどこ辺りなのかは、全く分からない*14

シブハラは、ニセ錬1部でいうアレウスなのかもしれないし、アグノシアなのかもしれない。今が「1部」ということは、2部以降があるのかもしれないし、100部があるのかもしれない。

いずれにせよ、面白いことは間違いないと思う。

できれば商業化もしてほしいし*15、かわいい(?)お嬢様キャラ*16も出て欲しい。

 

同作者の他の作品

「僕の妻は感情がない」*17も、「追放勇者問題」*18も、「おもしろい短編集」*19も、全て面白いです*20

ぜひ読んでみてください。

 

おわり*21

 

 

*1:https://twitter.com/ogawaissui/status/1360344154258038786

*2:作者にお布施しようと思って、あまり自分の好みじゃなそうな「僕の妻は感情がない」を買ってみたが、こちらも面白くて元が取れてしまったのでお布施にはならなかった。なお、お布施したい欲は、pixivFANBOXで解消できました。

ファンアートも描きました。

https://twitter.com/daydollarbotch/status/1578626261424885760

*3:杉浦次郎「神引きのモナーク」14 #漫画 神引きのモナーク14 - 杉浦次郎のマンガ - pixiv

モナーク」らしい服装の主人公タケモトと、そのパーティほか。本編は、だいたいこのぐらいのラフ具合です。

*4:ゲンスルーHUNTER×HUNTER

*5:ニセ錬でも顕著である。

「善人と狂人を描くのがうますぎる」という感想を書いてる方がいたが、本当にそのとおり。

https://twitter.com/magemomonja/status/1738200405258211714

*6:ミトさん(HUNTER×HUNTER)理論

*7:ファンアートを描きました。

https://twitter.com/daydollarb/status/1735142401445134532

*8:呪術廻戦3巻の帯に葦原大介ワールドトリガーの作者)が寄せた推薦コメント

*9:ジャンルや味付けが全然違うので、当然ながら別物である。

うがった見方をすると、支配・被支配関係は、作者と作中キャラの関係でもある。作者は、作中キャラに対して誠実であり、作中キャラは、時として作者(もしくは運命や物語の流れ)にすら抗うのだ。

なお、作者も「新しい家族生まれがち」という点には言及している。

https://twitter.com/sugiura_jirou/status/1468176168189042690

https://twitter.com/sugiura_jirou/status/1572213372174888968

https://twitter.com/sugiura_jirou/status/1572213767672582148

https://twitter.com/sugiura_jirou/status/1448134892206772224

https://twitter.com/sugiura_jirou/status/1692533657834328200

*10:作者が不穏なツイートをしてたりもする。

https://twitter.com/sugiura_jirou/status/1725808999256440947

*11:ファウスト博士とメフィストフェレス

*12:リーンが、アールビーを言葉で「操って」みせた後に、普通に操っているのも、よい。

*13:https://twitter.com/sugiura_jirou/status/1710982440431534497

*14:2024年中に第1部が完結するかもしれない。

https://twitter.com/sugiura_jirou/status/1741523647989477811

https://twitter.com/sugiura_jirou/status/1728829464308818098

*15:https://twitter.com/sugiura_jirou/status/1691768229293883739

*16:https://twitter.com/sugiura_jirou/status/1740821640228016629

「お排泄物ですわよッッ」(ゲーミングお嬢様)とか言うのかもしれない。

*17:僕の妻は感情がない 無料漫画詳細 - 無料コミック カドコミ(コミックウォーカー)

*18:kindle

 https://www.amazon.co.jp/追放勇者問題-杉浦次郎短編シリーズ【ラフ】-杉浦次郎-ebook/dp/B0B19MLWPP

pixiv 

「追放勇者問題」/「杉浦次郎」のシリーズ [pixiv]

*19:

「おもしろい短編集」/「杉浦次郎」のシリーズ [pixiv]

*20:おもしろ漫画製造マシンかよ。

https://twitter.com/sugiura_jirou/status/1675476707346894854

*21:本記事中の9割くらいは、牽強付会と妄想です。